車中泊の結露対策

車中泊の結露対策

登山口などで車中泊するとき、気節によっては車内の結露に悩まされることがあります。

車内の空気が外気によって冷却された窓ガラスに触れて局部的に温度が下がり、露点以下になった時に、空気中の水蒸気が水滴となるためで、これを防ぐ方法は、車内の空気を冷たい窓ガラスに直接触れないようにするか、接触しても結露しないように車内の空気の露点温度を下げる(すなわち湿度を下げる)しかありません。

前者の対策としては窓に断熱材などを貼る方法があり、後者の対策は車内の空気の湿度を下げるために、エアコンで除湿したり、窓を開けて換気したりといった方法があります。手っ取り早いのがエアコンなのですが、夜中のエンジン騒音と省エネの観点から避けたいところで、結局のところ換気が現実的な方法なのですが、この方法は時として逆効果になる場合があります。

つまり、

(1) 室内の湿度を下げたいとき(結露対策)

→ 外気の方が室内より水蒸気量が多いときは換気すると逆効果になる。

(2) 室内の湿度を上げたいとき(乾燥対策)

→ 外気の方が室内より水蒸気量が少ないときは換気すると逆効果になる。

ということです。

ここで水蒸気量とは、1立方メートルの空気の中に含まれている水分の量をグラムの単位で表したもので、「絶対湿度」ともいいます。

空気に関して温度と湿度は相関にあるため、同じ空気でも温度が上がれば湿度は下がり、温度が下がれば湿度は上がります。車内外の空気を比較するとき、両者の温度が一致していなければ単純に湿度を比較することはできません。

そこで、空気中の水蒸気量という尺度で捉えると、車内外の温度が異なっても共通の尺度で湿度を比較することが出来ます。つまり、車内外の空気が同じ水蒸気量であれば、車内の温度を車外の空気の温度と一致するように調整すれば両者の湿度は一致します。

車内の水蒸気量から結露温度を割り出し、その日の予想最低温度と較べることによって結露の有無をあらかじめ想定することが出来ます。

温度、湿度ともハンディな温湿度計が1個あれば測定はできます。あとは計算式なのですが、都度計算するのは面倒なので、EXCEL にあらかじめ計算式を組み込んだものを作ってあります。車内、車外の温度・湿度を入力するだけで、それぞれの水蒸気量と露点温度を知ることが出来ます。

さて、ここまで整理してきたが、現象を定量的に把握するまでは何とか出来たものの、それから先の対策までには至っていません。というか、結露対策とは別に酸欠防止の観点から車内の換気は必要で、ドアにネットをかぶせて窓を数センチ開けています。その状態で結露するという事はほとんどありません。それでも窓が濡れれば拭き取るまでのことで、現状ではそれ以上の不都合は感じていません。

冬期間など、もっと厳しい状況下で車中泊するとなると結露ではなくて窓に霜が張り付いたりするし、暖房を使うと車内の空気が乾燥したりします。そうなると結露・乾燥対策も本腰をいれなければならないのでしょうが、4月~10月しか車中泊しない自分の場合は、ダウンのシュラフを使ったりすることで何とかなっています。

<< 2018.9.26追記 >>

温度と湿度から水蒸気量を算出できるのなら、最初から水蒸気量を表示できる安価な温湿度計はないものだろうかと探した結果、「A&D みはりん坊ダブル AD-5687」という商品を見つけました。画面では「乾燥指数」と表示されていますが、実は「絶対湿度 ( VH ) 」そのものです。

絶対湿度が分かる温湿度計

<< 2023.8.31追記 >>

今年の夏は暑かった、いやまだ終わってはいない、現在の室内は 28.4 度だが湿度は 78%、いまのところは何とかなるがこれから温度が上がる。北国生まれの自分は暑くても寒くても辛い、要は適応域が狭いのだ。

それは別として、以前から温めていたプランについて記述したい。上にも長々と書いたが、要するに室外と室内の水蒸気量を比較して適切なタイミングで換気するという機能があれば良いのだ。

必要な機器は① 換気扇(給排気切替機能付き)、② 制御 BOX、③ 電源の3要素。車中泊と通常の生活環境では、①と③が異なるが②はほとんど変わることが無いと思う。

制御の中身は、室外センサーと室内センサーから取り込んだ温湿度を演算し、一定の条件で換気扇の電源 ON/OFF と排気/給気の切り替えをするというもの、タイマー機能、間欠機能、手動運転、動作時間帯(時刻、曜日、特定日、季節、運転時間)設定機能なども付加機能として必要になると思う。

比較のロジックは、

(1) 室外の水蒸気量 < 室内の水蒸気量の場合:排気運転

(2) 室内の水蒸気量  > 室外の水蒸気量:給気運転

どちらの場合も室内温度と室外温度の差が一定値以上の場合は抑制運転(強→中、中→弱)する。

制御BOXの中身はマイコンとリレーの他、ボタン・スイッチなどの UI 部分が必要になるが、スマホと連動させると多様なオプション機能を付加することができる。

1チップのマイコンボードによって実現させたいと思っていたのだが、構想から約 10 年、いまだに手を付けていない。こんな機能を実現したコンパクトな家庭向け商品があったら、即購入していたのだが、ついぞそのような商品は見かけたことが無い。

今、我が家では壁にコントロール盤が付いた初代ロスナイが劣化してモーターが停止したので廃棄し、代わりにネットで購入した湿度センサー付きのコンパクトな排気専用換気扇が稼働している。この取り替え作業で苦労したのは、壁の制御盤の埋め殺し、壁内配線の処理、換気口の穴のサイズ、壁の厚さ、固定可能な下地の位置と換気扇のネジ穴の位置のズレを合わせるための加工、換気口のサイズ違いを埋めるためのプレートの加工と仕上げ・塗装など、数値演算の世界にたどり着く以前の地道な DIY 作業だった。

ひとつ付け加えると、今回使用したのは 100φ のパイプファンで、換気風量は $48m^3/h$ のもの。自分としてはこれでは能力不足で、この10倍程度 $500m^3/h$ くらいのものが欲しいところ。もちろん、そうなると、通常の住宅用換気口では間に合わず、窓に取り付けるか、次のリフォームの機会を待つことになる。

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