写真の露出:露出補正

ここでは,細かいことは別にして,白飛び黒つぶれを意識しながら,とにかく"きれいな写真を手っ取り早く撮ることを目的に,露出補正の考え方を説明します。

■露出補正の必要性

・感光体が記録できる範囲には限界があることは前節で説明しました。では,どのように対処すればいいのでしょうか。図4でいうところの C の幅を広げて,0~100 までカバーすることが正攻法であり,理想でもありますが,現実にはまだまだほど遠い状態です。
・とりあえず「露出補正」によって対処する方法を説明します。

■露出補正の方法

・露出補正の方法は,簡単にいうと「撮影対象に合わせて図4の C を左右にずらす」という考え方です。
・図4は,感光体(フィルムまたはイメージセンサ)の感応範囲を暗い方主体に使った場合で,暗い方の表現を優先し,明るい方は捨てています(黒つぶれはほとんど無くなりますが,白飛びは多くなります)。日没や夕日の写真など,画面内に極端な明暗の差があるが,暗い方の再現性を重視したい場合などにこのような露出補正を行います。

図4 左寄せ(プラスの露出補正)の考え方

・カメラの操作としては,プラスの露出補正を行います。写真2をご覧ください。足元の雪渓の表面の状況を表現することを重視して露出を決めています。そのかわり,遠くの山並みのシルエットは写真1よりもさらに白く塗りつぶされて,ディテールが消えて(飛んで)しまっています。

写真2 左寄せ(プラスの露出補正)の写真例

・それに対して下の図5は,明るい方の再現性を優先して露出を設定した場合で,感光体の感応範囲 C を明るい方にシフトして使っています。こうすると,明るい領域での微妙な諧調を写真に表現することができます。
・カメラの操作としては,マイナスの露出補正を行います。

図5 右寄せ(マイナスの露出補正)の考え方

・この場合の作例として,下の写真をごらんください。足下の雪渓は暗く写り,ほとんどわかりませんが,遠景の山並みは微妙なディテールが再現されています。

写真3 右寄せ(-の露出補正)の写真例